看護師国家試験の概要

看護師国家試験とは?

看護師国家試験は、看護師として働くために必要な資格を得るための試験です。
厚生労働省によって運営されており、合格することで「看護師免許」が取得することができ、病院やクリニック、介護施設などで看護師として働けるようになります。

当試験では、医療現場で必要とされる知識と技術を確認し、患者に対して安全かつ適切なケアを提供するための基礎を構築する目的があります。

試験の目的

看護師国家試験は、以下の点を評価するために実施されます。

基礎知識の確認

解剖学、生理学、病理学など、医療の基礎となる知識を理解しているか。

看護技術の応用力

患者の状態をアセスメントし、適切な対応を行うスキルがあるか。

医療倫理と法的知識

医療現場での倫理的判断や法律遵守の理解があるか。

これらの能力を総合的に評価し、安全で質の高い看護ケアを提供できる看護師を育成することが目標です。

受験資格

看護師国家試験を受験するには、以下のうちいずれかの条件を満たす必要があります。

看護系の大学を卒業した人

4年制大学で看護学を学び、必要な単位を取得して卒業することが条件です。

看護専門学校を卒業した人

3年間の専門教育を受け、実践的な看護技術と知識を習得した人が対象となります。

准看護師から進学した人

准看護師としての資格と実務経験を持ち、さらに進学して正看護師の資格を目指した場合も受験資格を得られます。

試験の形式とスケジュール

  • 全体の問題数:約240問
  • 試験形式:マークシート方式
  • 試験時間:午前と午後の2部構成で、それぞれ2時間程度
  • 開催時期:毎年2月中旬

試験の流れ

  1. 申込手続き
    • 受験申請書を提出し、必要書類(卒業証明書や写真)を準備します。
    • 受験料の支払いも必要です。金額は1万円程度が目安です。
  2. 受験票の受け取り
    • 試験日の1か月前には受験票が届きます。試験会場の確認も行いましょう。
  3. 試験当日
    • 会場には余裕を持って到着し、受験票や筆記用具を持参します。
    • 試験中は静かな環境で、与えられた時間内に回答を終える必要があります。
  4. 結果発表
    • 試験から約1か月後に合否結果が通知されます。

試験内容

看護師国家試験では、大きく分けて3つのカテゴリの問題が出題されます。

  必修問題 一般問題 状況設定問題
内容 基本的な看護知識や技術 より広範囲な看護学全般 実用的な判断力を問う問題
出題数 50問 130問 60問
配点 各問題1点 各問題1点 各問題2点
合格基準 80%以上(40点以上) 年度により変動

必修問題

  • 目的:看護師として必ず理解し、実践できなければならない基礎的な知識を確認します
  • 出題数:50問
  • 配点:1問1点(50点満点)
  • 合格基準:80%以上(40点以上)
  • 内容:基礎医学(解剖学、生理学)や、看護倫理、感染予防、医療安全など
  • 具体例:血圧測定の正しい方法、基本的な感染予防策、救急処置や薬物管理に関する問題など

一般問題

  • 目的:実際の看護業務に役立つ知識の習得度を測ります
  • 出題数:130問
  • 配点:1問1点(130点満点)
  • 合格基準:年度により変動
  • 内容:基礎看護学から成人看護学、母性看護学、小児看護学、精神看護学、老年看護学など
  • 具体例:糖尿病患者の血糖値管理、透析患者の観察ポイントなど

状況設定問題

  • 目的:実践的な問題解決能力や状況に応じた適切な対応を評価します
  • 出題数:60問
  • 配点:1問2点(120点満点)
  • 合格基準:年度により変動
  • 内容:ケーススタディ形式で、1つの事例に基づき2〜3つの設問が作成されます
  • 具体例:緊急時の対応(心肺蘇生など)、長期ケア計画の立案(リハビリテーションや高齢者ケア)など

勉強方法と対策

基礎を固める

基礎的な医学知識をしっかり理解しましょう。特に、解剖学や生理学、病理学などの基本科目は必修問題で重要です。

過去問に取り組む

過去5年間の試験問題を分析し、頻出テーマを把握することが合格への近道です。

模擬試験で練習

模擬試験を受け、本番の形式や時間配分に慣れることが重要です。緊張感のある環境での練習が自信につながります。

集中とリフレッシュのバランス

長時間の勉強だけでは効率が下がります。適度に休憩を取り、体調管理をしながら進めましょう。

学習計画を立てる

試験日から逆算して、学習スケジュールを立てましょう。目標を小さく分けて達成感を得ながら進むのが効果的です。

試験後の手続き

合格発表後の免許申請

合格通知を受け取ったら、看護師免許の申請を行います。申請書類は厚生労働省の指定様式を使用します。

申請に必要なもの
  • 合格証明書、申請書、登録料(約2万円)。
  • その他、身分証明書や写真も必要です。
免許証の受け取り

申請後、1か月ほどで看護師免許証が交付されます。

就職準備

免許取得後、各医療機関での採用手続きや研修に参加します。

看護師の未来

看護師国家試験に合格すると、病院、クリニック、訪問看護、産業看護師など多様な分野で活躍できます。
さらに、助産師や保健師、専門看護師へのキャリアアップも目指せます。

医療現場での需要が高まる中、看護師としてのスキルを活かして社会に貢献することが期待されています。